二百十日 関東大震災記念日 防災の日
今日は二百十日です。立春から数えて二百十日目。台風の特異日と言われています。朝、窓を開けると湿度はあるものの、ひんやりした空気。昨日より4℃も低い曇り空。八尾の越中おわら風の盆など、風鎮めの祭りが各地で行われます。
台風などの暴風を「野分」と言いますが、荒々しい風が野を分け草木を吹き分ける様子を表している言葉です。枕草子や源氏物語の巻名になるなど、古くは台風のことを野分と呼んでいました。「野分」と聞いて、一番先に浮かぶのは、大好きな蕪村の句。
鳥羽殿に五六騎いそぐ野分かな 与謝 蕪村
野分の中、騎馬武者が鳥羽殿に向かって疾駆して行く。馬のたてがみの乱れや息遣い、騎馬武者の鎧の緋威しや紫に萌葱色。行手にある人々のさんざめきなど。錦絵のような情景と風の音や蹄の響きが浮かんできます。
保元平治の乱(1156〜1160)に着想を得た句だそうですが、絵描きでもある蕪村の面目躍如の映像美を感じます。保元平治の乱は、鳥羽上皇崩御の後に端を発した皇位継承の争い、摂関家の内紛に伴う戦いです。史実と自然現象の野分の取り合わせの見事な事。蕪村の句の中でも好きな句のベスト3に入ります。
子規にも野分の句が沢山あります。
なかなかに朝顔つよき野分哉
はねかえす野分のあとの薄哉
一つずつ星吹き散らす野分哉 正岡 子規
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