日本全国、何処にもアメダスが見当たらない快晴だそうです。伝える気象予報士の声も、弾んで聞こえます。好天に気持ち良い散歩の途中、お誘いいただいてマンションの中庭の活花を拝見しました。「今回は小ぶりですよ」と謙遜なさいましたが、色とりどりの矢車草が清々しい初夏の空気を感じさせていました。矢車草は大好きな花なのですが、花屋さんの店頭に並ぶことがありません。そんなお話をすると活花作家の奥様が「ちょっとお待ちになって」と矢車草を一束くださいました。「矢車草は、やはりこの色が一番ですね。」瑠璃色の矢車草が、今日一日が佳い日だと約束してくれているような気がしました。自然体で周囲の人々に幸せを分かつご夫妻です。早速、白磁の花瓶に活けました。

　住みのこす矢車草のみずあさぎ　　　中村　汀女

　清貧の閑居矢車草ひらく　　　　　　日野　草城

2021.04