蟷螂生まる
茗荷谷一幸庵の季節の生菓子をいただきました。美しいしつらえで、一つ一つに銘があります。紫陽花、青柚子、青梅、そして「かまきり生ず」。初めて聞いたかまきり生ずに興味深々。見当をつけて、角川の歳事記「季寄せ」を捲ると「蟷螂生まる」がありました。夏の季語。七十二侯の一つで、二十四節気の芒種(6月5日)の頃の七〜ハ日をさすそうです。当に今日のためのお菓子です。泡泡と薄茶色のそぼろが蟷螂の巣を象っています。遊び心、洒落心がいっぱいです。贈り主は、茶道の先生。一幸庵は茶事のお菓子を「誂える」処だそうです。小さなカードに菓子職人さんのメッセージ「作るものから言えば、すぐに口にしてほしいのです。すぐにが無理ならば、せめてその日のうちに」。生菓子の「生」たる所以と思いました。眼福、口福、脳味噌の栄養までいただきました。勿論、美味しかった!
愛染や八方に散る子かまきり 倉橋 羊村
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