藤の花

藤の花の季節になりました。万葉集に二十七首の歌があるように、いにしえから親しまれた花です。
長い花房の揺れる風情は実に優雅で、歌舞伎座の「藤娘」の艶やかな藤の花房に息をのんだことを思い出します。
「古事記」の「藤の花衣」の伝説は、日本最古の花物語です。美しい乙女を恋した兄弟。何かにつけて力があり傲慢な兄に、勝ち目が無いと思った弟が母親に相談すると、母親は「藤の皮で弓矢を作り、乙女の家の戸口に立てかけておく」ようにと知恵を授けました。翌朝、弓矢から見事な藤の花が咲き、弟は乙女と結ばれたと言うお話です。
古事記には、兄弟のいさかいで弟が勝つお話が沢山あります。「海幸山幸」、「因幡の白兎」の大国主命。そして「藤の花衣」。弟が他者の援助を受けて幸せになる物語が数多く生まれる理由を知りたいと思います。今日はこれから雨が降りだすとか。薄暗い日曜日の朝です。
 藤棚の中にも雨の降りはじむ   三村 純也
 藤棚を透かす微光の奥も藤   長谷川かな女

やよいの日々

日々の日常を綴ります。

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