ムベ(郁子. 野木瓜)
「ムベを活けました」活花作家さんのお誘いに、興味津々、雨の中をお訪ねしました。名前や和歌などでは聞いたことがありますが見るのは初めてです。アケビ科の常緑つる性木本植物。アケビに似ているのでトキワアケビとも呼ばれています。
平安時代、延喜式によれば、近江の国から鮒や鱒など琵琶湖の魚とともに「ムベ」が献上され、無病息災や子宝に恵まれる果実とされていたそうです。
「むべ」は「いかにもその通り」「もっともだ」の意味で、「むべなるかな」の様に感動を含んだ肯定の意味合いで使われています。
百人一首の「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ」は有名で、私が「むべ」と言う言葉を知ったのも、高校時代古文の時間にこの和歌に出会った時からでした。
ムベが縁起の良い植物と言われる所以は、その葉にもあり葉で若葉の時は三葉、成長するにつれて五葉になり、終には七葉になるので、七五三で目出度いとなったようです。
郁子いけて白蚊帳秋となりにけり 飯田 蛇笏
郁子といいあけびと云いて山路ゆく 高浜 年尾
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