茅花(つばな)
野草園の土手に茅花の穂が揺れています。茅花は茅(ちがや)の花穂。日本全国の陽当たりが良いところに分布しています。小学一年生の頃、戦時中という事もあり、登下校は六年生の男の子が班長になって、厳格な訓練のようでした。教師や親からの指導があったのでしょうか、一年生を中に挟み上級者たちが囲むように隊列をつくって行進します。学校から一番遠い地区の私たちは四十分以上もかかりました。下校の時、西武鉄道の線路脇の土手に差しかかると「休め」の号令がかかり、子どもたちは我先に茅花の幼い花穂を摘んで食べました。花穂は柔らかでちょっと青臭くうっすらと甘みがありました。登下校で守ってくれた六年生、茅花の食べ方を教えてくれた上級生、茅花を見ると思い出します。夏至の時季に 茅花の白い綿のような穂に吹く風を「茅花流し」と呼びます。
茅花咲く岡にのぼれば風の吹く 村上 鬼城
三日月のほのかに白し茅花の穂 正岡 子規
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