蕎麦の花
最寄り駅から15分で池袋。その駅から10分ほどのところに蕎麦畑があります。去年までは雑草が生い茂っていた三十坪くらいの空地でした。人とすれ違うのがやっとの細い道を挟んで、向かい側には葡萄畑が広がっています。細い道を抜けると急に道幅が広くなって森林公園に出ます。つい先日は郭公が鳴いていました。
蕎麦は、今でこそ「趣味的食べ物」のように扱われることが多くなりましたが、昔は救荒食。米や麦の採れない荒れた土地でも栽培出来る穀物(とは言え実は五穀には入らない)でした。「おらが村ではうどんが常食」と言うのは麦が採れる肥沃な土地と言うことだったようです。今では外で食する蕎麦の値段がうどんよりも高い気がするのですが。蕎麦は中央アジア原産。古くから日本に渡来し、蕎麦がきのような形で食べられるでいたようです。江戸時代になって蕎麦切りと醤油が庶民のものになると、屋台中心のファストフードとして人気を博します。江戸以北は蕎麦大阪以南はうどん文化。江戸落語の「時蕎麦」が、上方落語では「時うどん」だとか。コロナワクチンの抗体ができたら、杉浦日向子さんの「もっと蕎麦屋で憩う」を片手に蕎麦屋巡りを再開しようと思います。
蕎麦はまだ花でもてなす山路かな 松尾 芭蕉
秩父路や天につらなる蕎麦の花 加藤 楸邨
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