麦畑

都心まで二十分の最寄駅。その駅から二分のところに広々と麦畑が広がっています。少しずつ侵食されるように宅地化している中で、今年も変わらず青青とした麦畑です。小学校の同級生は殆どが農家の子どもで、冬のお手伝いは「麦踏み」という人が多かったものです。中には小さな弟妹をおんぶして器用に麦踏みをする者もいました。羨ましくて、仲間に入れてもらったものの、足裏が冷たくて長くは続けられませんでした。品種の改良のせいか、栽培方法が変わったのか、今では麦踏みを見ることはありません。麦踏みをしている人たちは、子ども心に何か深く考えながら黙々と歩いているように見えたものです。大人たちが子どもを諭す「踏まれるほど、しっかり根を張る」などの言葉も最早死語になったのでしょうか。
 ユダの不信吾にもありや麦を踏む  後藤 一朗
 きさらぎの麦踏みのぼる向かい風  中  拓夫



やよいの日々

日々の日常を綴ります。

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