山吹

黄色と白の山吹が咲いています。

山吹は、北海道から九州まで広く分布しています。

山吹の枝は微風でも、よく揺れ動くことから「山振り」が転訛して「山吹」になったそうです。

一重咲きは実を結ばないことから、有名な太田道灌の故事が生まれました。

ある日、鷹狩りに出かけた道灌がにわか雨にあい、賤家に「蓑」を借りに立ち寄ったら、その家の娘が山吹の枝を差し出すので、腑に落ちぬまま帰城し、知才ある家臣から「七重八重花は咲けども山吹の実ひとつだになきぞ悲しき」の隠喩を知らされ、己の不明を恥じて勉学に励み明君となったと言うお話です。

山吹の里の伝説は、東京周辺に数多くありますが、道灌縁りの地となれば、江戸城を起点に考える鷹狩りの範囲は、せいぜい新宿か高田馬場辺りではないかと思います。

　山吹や葉に花に葉に花に葉に　　　　　　太祇

　山吹の一重の花の重なりぬ　　　　高野　素十